第6回 なぜか新潟(1)



 夏休みも終わりに近づいた、9月20日水曜日。今日もギタークラブの練習が行われた。しかし、今日はシドニーオリンピックのサッカー予選、日本対ブラジルの日でもあった。

 練習には5人しか来なかった・・・。しかもそのうち1人は、本当は来ない予定だったのが、午前中の免許の修了検定を、S字での脱輪により不合格となり、仮免学科試験が受けられなくなったため、仕方なく練習に来たという・・・。

 練習後、ふるふる、しゅーへい、ふぢわら、ゆーき、たいきの5人で、ふぢわら邸でサッカー観戦会が開催された。残念ながら試合は負けたが、日本の予選突破におおいに盛り上がり、なぜかギターの弾き語りで大合唱が続いた。とても近所迷惑だったと思う。試合終了から2時間も歌い続けた5人は、その後、近くのバーミヤンで遅い夕食をとった。

 日本の予選突破と、その後の大合唱で、5人はめちゃくちゃハイテンションになっていた。トークも異様な盛り上がりを見せた。そして、その経緯はよくわからないが、次のような会話が交わされた。

  「おれ、日本海行ってみたい」

  「じゃあ、今から新潟でも行きません?」

  「えっ、今から?あー、でもいいなー。おれ、日本海見たことないし」

  「(僕を指差して)ここにちょうどドライバーもいるし」

  「しゅーへいも、脱輪もしたことだし」

 こんな感じでなぜか新潟まで、日本海を見に行くこととなった・・・。一応目的は「しゅーへいの脱輪をなぐさめる」ためらしい・・・。余談だが、この脱輪は当分の間、ギター部内で、ネタにされそうである。

 ふるふるさんは、翌日予定があるらしく、帰宅。僕も車を取りに一度帰宅。そしてその1時間半後、わざわざ大和市から逆戻りして、車でふぢわら邸に到着。車になぜかクラシックギター2本、フォークギター1本、そして歌本と酒を積み込む。

  ゆーき「なんでギター持っていくの?」

  ふぢわら「だって、日本海行ったら歌うしかないじゃん」

  ゆーき「なるほど」

 こんなノリのまま、しゅーへい、ふぢわら、ゆーき、たいきの4人は、横浜を出発したのであった。いやー、勢いとは恐ろしい。出発の時刻は午前0時半であった。 もちろんみんな貧乏だから、高速道路なんかは使わない。国道16号を延々北へ向かった。さすがにこんな時間だと、道はガラガラ。音楽を聴きながら快調に一路北へ。

 しょっぱなから、ユニコーンの「おどる亀ヤプシ+ハヴァナイスデー」なんてCDを聴く。運転席の僕と、助手席のたいきは、このCDでさらに盛り上がっていたが、後ろの2人は、かなりひいていたと推測される。さらにその次も、奥田民生の「29」なんて聴いたりして・・・。後ろの2人、ごめん!

 我が大和市、そしてふるふるの住む相模原市を過ぎ、東京都に入る。 また余談だが、八王子バイパスの通行料は、普通車が250円なのだが、原チャはなんと、たったの30円で通行できることを知っているだろうか?かつて原チャで新潟まで行ったことのある、ゲンチャーズのたいき君は、そのときに10円玉を3枚払って、堂々とバイパスを利用したという・・・。

 16号から407号、そして17号へ。順調である。このころまではまだ、全員のテンションも高いまま。それにしても途中立ち寄ったコンビニが、2軒とも臭いこと臭いこと。養鶏場か何かの近くだったと思われる。

 臭いといえば、車の中でおならをする人が続出。車は密閉されているからたまらない。それでも車は日産のステージア。広いからなんとか助かったようなものである。

 3時ごろ、他のギター部員から、「本当に新潟行ってんの?」とのメールが。ふるふるさんが新潟行きのことを、掲示板に書き込んだようだ。

 熊谷あたりから、「新潟まで240キロ」とかいう案内板も出てきた。高崎を過ぎて、午前4時ごろからは、道はだんだんと山道に。もうすぐ難所、三国峠である。このころから出発時のテンションは衰え、寝る人も出てきた。そして夜も明けはじめ、峠のあたりで4人は朝を迎えたのであった。峠から見る朝日はとてもきれいだった。




湯沢温泉のコンビニで一休み


信濃川のほとりにて



 午前6時ごろ、三国峠を越え、新潟県へ。しかし、4人は新潟県を少しなめていた。国道17号線で新潟県に入ったところにある湯沢から、目的地の新潟市までは、まだ150キロほどの距離があったのだ。今回の最大の収穫は、新潟県が結構広いことを、身を持って体験できたことかもしれない。

 朝食を買いに、湯沢でひと休み。このあたりは、まだまだ寒く、車の外にいると、身体が冷えてくる。気温は15度だそうだ。外の寒さと、空気の新鮮な感じが印象的だった。やっぱり横浜とは空気が違った。

 塩沢あたりから、道路の両端は田んぼばっかりに。さすが米どころである。それにしても、新潟の人はやたらに車を飛ばす。雪国で道が広いせいか、まわりの地元ナンバーの車の大部分は、一般道で、80キロくらい出していた。

 そして午前10時過ぎ、横浜を出てから実に10時間、約340キロの道のりを走破し、とうとう目的地である日本海に到着。さすがに海を見たときはちょっと感動したねー。

 続きは次回に。




日本海の荒波(?)





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